創刊号

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INTERVIEW 1

有機栽培とは…生き方そのもの。

『安全な食を考える会』会長 諏訪部さん

 

INTERVIEW 2

「衣・食・住・遊・知」全てにおいて

自然と共に心地よく生活する

ショップ晴れ屋代表 小泉 壱徳さん

 

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INTERVIEW 1 『安全な食を考える会』 会長 諏訪部明が有機農業について語る。

諏訪部 明

有機栽培とは… 生き方そのもの。

人間は自然の一部であり、

自然と共に生きることが本来の人のあり方

 

諏訪部 明プロフィール

愛川町会議員:7期

高峰農協:元専務理事

農民組合(愛川町):元会長

愛川町農業委員会:元会長

農民組合神奈川県連合会(県):

 元代表、現在顧問

農民連(全国):立ち上げメンバー

土作り研究会:現会長

神奈川県農畜産物供給センター:

 設立当時の役員

■安全な食を考える会…現会長

 

愛川町でブドウ栽培して58年、有機栽培に移行して28年 ブドウの栽培面積(60アール)に8種類のブドウの栽培を、現在では息子さんに引き継いで続けています。現在88歳。

ブドウの木

愛川町での有機農業の先駆者で約35年前に生産者と消費者の距離を縮める生産直売の店「神奈川県農畜産物供給センター」を立ち上げました。

加えて農家の生活確立のため農民組合立ち上げや消費者の側から安全な食の認識を広げるために「安全な食を考える会」も設立されました。

 

そのような諏訪部さんのブドウの木には有機栽培への歴史が生きづいています。

 

実際に諏訪部さんの有機栽培したブドウは化学肥料栽培の時と比べると木は丈夫になり、実はぶどうの風味あふれる濃くて甘いものに変化したそうです。

そんなブドウの味に象徴されるような諏訪部さんの濃い道のりについて取材してきました。

諏訪部さんを有機農業へと導いた道のり。

ブドウの木2

諏訪部さんを有機農業へと導いた道のりは農家の生活を守る活動の日々でもあります。

『戦争に翻弄されながらも戦場から生き延びた命。今後は自分が納得した人生にし、暮らし良い世の中にしたい』という思いを胸に、戦後諏訪部さんは愛川町で就農していました。

その思いが後々『本物作り』という意味で有機農業へと諏訪部さんを向わせることとなります。

 

 

およそ50年前のことです、高峰(現愛川町)の農家全体に衝撃が走りました。農協が経営破たんし、貯金不払いを強行したのです。

それにより、諏訪部さんを含め高峰の農家に混乱が起こりました。

現状を打破するために、諏訪部さん(当時37歳)が推薦され、農協の専務に就任し農協復興に尽力しました。

 

このような状勢の中で、農家の生活について不安定さを感じ、農家の在り方自体に変革の必要性を感じました。

農業と農家の経営を守るためには農家の自立が必要だと思い立ったのです。

 

そこで農家が自主的につくった団体である農民組合を愛川町で立ち上げました。

ひき続き神奈川県下の農民組合県連を立ち上げ、全国の農民連の立ち上げにも力を注ぎました。

稲穂

諏訪部さんが農業をしはじめた当初は化学肥料や農薬を利用してブドウ栽培されていました。

 

農家として自営しながら農協や農業委員会の活動の中で、戦後に誓った『今後は自分が納得した人生にし、農民と消費者の健康を守る』との思いから自分が使っている化学肥料のこと、農薬のこと、有機栽培のことを自ら調べ実験しました。

 

そして知れば知るほど食品の安全面でも使用する側の農家の健康面でも農薬の危険性を感じるようになりました。

 

『後世自分の息子のためにも安全で本物をつくる農家を継承したい』という思いから、今から28年前に日本でも数少ないブドウの有機栽培農家になったのです。

諏訪部さんにとって、有機農業とは?

諏訪部さんにとって有機栽培とは…生き方そのもの。
人間は自然の一部であり、自然と共に生きることが本来の人のあり方。

諏訪部さんの有機農法とは??

稲

環境調和の栽培法。 例えば害虫を食べてくれる天敵を呼ぶために、天敵が好む雑草をあえてはやす。

そのことによって天敵が集まり害虫を減らすことが出来る。

そういった環境を作り出すことで健全に植物を育てることが出来ると言われます。

 

有機農法の資材として天敵を販売しているところがありますが、外から意図的に天敵を入れるより、天敵の好む環境をつくって天敵を自然発生させた方が天敵は定着しやすいそうです。

 

 

環境を知り、植物を知り、その調和を知る。それには農家としてのものを見る目を養うことが必要で、我慢と経験が必要なのです。

諏訪部さんにとって本物とは??

合鴨

その植物が本来の特徴を持って生きているもの。

それは植物の姿であり味についても言える事です。(例えば、ピーマンの苦味や人参の香り)

 

その植物の特性を知り、それが持つ特徴を生き生きと発揮できる環境を作り出すこと。

それが本物づくりであるとおっしゃいます。

諏訪部さんの思う有機栽培の必要性とは??

諏訪部さん

堆肥等の有機物を土に帰さないと土の劣化が進み収量が減ること。

土の極端な劣化により食糧問題にも発展しかねない問題です。

現在の有機物投入量200kg/反。1960年代は1トン/反、投入していたそうです。これだけ投入量が減ると土の劣化が進みます。

 

 

なぜ有機肥料が必要なのか、地上の有機物(植物)が分解され土になりそこからまた地上の有機物(植物)になる、これが自然の摂理。

有機物の養分からしか有機物はできないのです。

有機肥料は元々地上にある有機物なので有機物(植物)に必要な様々なミネラルやN・P・K(窒素・リン・カリウム)をバランスよく含みます。

有機物は微生物の餌になりながら無機物に分解します。

そしてその無機物が有機物の餌になり有機物ができる。こういった有機物の循環が必要なのです。

対して化学肥料を使用した畑は有機物にとって必要な栄養素が不足します。だから作物が出来なくなっていく。

今後の作物収量確保や日本の自給率の向上の観点からも有機農業は必要なのです。

消費者が求める野菜とは??

諏訪部さんは、神奈川県の消費者意識は高いと言われます。

諏訪部さんの農家としての幅広い活動の中で、消費者の方とも触れ合う機会が増えていきました。安全な食品を購入したいという思いから『顔の見える農作物販売所がほしい』という消費者の声を聞くようになります。そこで30年前では珍しかった生産直販所である神奈川県農畜産物供給センターを仲間と共に立ち上げました。(現在、宅配販売のみ)お客様の声を聞くと、やはり消費者が求めるものは安心・安全でおいしい農作物。食べ物を作る生産者として消費者から求められる野菜を作りたい。諏訪部さんの『多くの農家が本物のおいしい農作物をつくり、それを求める多くの消費者の方に届けたい』という思いが強まります。そして今からから約25年前に農家による安全な本物の食べ物づくりのための会「土作り研究会」を立ち上げられました。

消費者の側から考える。

農家の生産者の側から尽力されてきた諏訪部さんですが、やはり有機農産物が必要という消費者の声が農家を動かすとの思いから、『安全な食を考える会』を今から8年前、80歳の時に設立されました。『消費者に食のことを良く知ってもらう。そのことが自分の健康を守ることになる』ことを伝えていきたい。
『安全な食を考える会』では実際に有機農業を家庭菜園で教えながら、食の成り立ち、その安全性について講習会を行っています。その他にも地元の在来種である津久井大豆を使った豆腐つくりや、なたねから油をつくったり様々な試みをされています。

諏訪部さんのこれから

今では有機栽培のブドウや田んぼなどはその精神と共に息子さんに引き継がれています。しかし諏訪部さんは今でも構想があり、やりたいことがあるそうです。

愛川町にも有機農業や田舎町に新しい価値を見出した若者が徐々に有機農業に就農してきています。有機農業に就業する農家が増えれば、有機野菜の生産直売である『有機の里』を立ち上げたいという思いももたれています。 米寿(88歳)を過ぎても、農家の生活の安定に力を尽くしておられる諏訪部さんを見ていると、強い生命力が感じられます。諏訪部さんをこんなにも強く動かす力は愛川町の自然が与えた生命力なのかもしれないと感じるのでした。

INTERVIEW 2 将来の夢は写真家になることと語る晴れや代表の小泉さん。

小泉 壱徳さん

将来の夢は写真家になることと語る晴れや代表の小泉さん。

「自然体」な笑顔で話される内容は、自らで見極める本質と世の中の固定概念に縛られない自由さがあります。

 

 

晴れ屋 小泉さんプロフィール

小泉 壱徳さん 33歳

■厚木オーガニックカフェ 晴れ屋 代表

■東京・神奈川7つの飲食・古着・

 雑貨などの会社代表

晴れ屋とは??

図

小泉さんの経営する晴れ屋のコンセプトは-「衣・食・住・遊・知」全てにおいて自然と共に心地よく生活するための提案ショップというように普通のカフェとは毛色が違っています。

 

店内では飲食・食品・雑貨・古着など生活に必要なものが販売してあり、その一つ一つがおしゃれでこだわりが感じられます。

一本筋が通っていて、そのこだわりを軸に開店して6年半ですが今でも進化をしています。いつ行っても新しい何かを感じる楽しいショップでもあります。

 

「晴れ屋」はカフェ以外にも情報発信の場所でもあり、エコイベントやエコ生活などの情報も収集できます。また「晴れ屋」自らイベントに参加したりして対外的な活動もされています。それ以外に畑プロジェクトと称して、「晴れ屋」の残った残飯などを堆肥に利用した自然農法の野菜栽培も行っています。

 

 

厚木を代表するエコスポット「晴れ屋」のこだわりには日本にとどまらず海外を旅して見聞きした経験が元になっています。

自分の目で見極めたこだわりのルーツに迫ります!

小泉さんが晴れ屋を始めたきっかけって??

店内

小泉さんが以前大手広告代理店でカメラマンの仕事をしていた時、サラリーマンとして取引先のオファー通りのものを撮っていました。

 

「自分が撮りたい物はこれなのか?」という疑問を感じる日々の中、自分を見返す旅に出ること決断。

自分好きなものを撮りたいという思いは、安定した収入の仕事を辞め放浪の旅へと向かわせました。

 

放浪の旅の中、ある事実を知ります。

それは先進国の古着屋が支援物資として送られてきている古着を買い付けに来ていることです。

戦時下など貧困に苦しんでいる国に行けば、日本も含む多数の海外諸国から送られる支援物資(古着)が一堂に集まります。多種多様な古着が一度に手に入るのです。

店内2

しかし売買されている物資は寄付の気持ちからされているもので先進国に古着として売買するものではない。という矛盾に胸を痛めました。

世界では着るものにも困りながら生活している現実がある中、日本では大量生産大量消費の社会。

まだ使える衣服が大量に燃やされていているのが現状です。

古着が実際に再利用されているのは10%。

後のほとんどが焼却処分されています。再利用の行方詳細・・・(図1) 

店内3

世界の中では貧困で苦しんでいる人がいる一方、日本の社会は消費することで経済が繁栄している矛盾。

加えて偽装表示などの嘘や矛盾が社会にあふれていました。

実際に自分の目で見て感じて考えた結果、社会の正しい方向性として必要なのは『正直なつくり方をしている商品がそれをほしい人の元に届きその労働と同化の利益を得る』平等な流通。

ェアトレード(発展途上国の農産物や雑貨などを、適正な価格で継続的に輸入・消費する取り組み。)も含む平等な取引システム。

生産者、加工者、消費者の対等な立場でつくり手の思いが伝わる取引がしたい。

それが「晴れ屋」出店の原動力の一つになりました。

晴れ屋のこだわり商品達

商品達

実際に「晴れ屋」に並んでいる商品はどんなこだわりを持つかというと、「作り手によるその商品に対する心意気を感じるもの」であり「本物」を感じる商品です。 

実際に生産の現場まで行ってつくり方やつくり手の人と交流することもある小泉さん。「作り手によるその商品に対する心意気を感じる商品は嘘のない正直な作り方をされている」。

「実際に会ってみればその『心意気』は伝わってくるし、本物とはそんな考え方から生まれるのではないか」と言います。

そんな心意気のある農家さん〔や生産者さん〕触れ合う中で、その思いに刺激を受けその作物を使って自ら加工してみたいという気持ちが生まれる。

そうして「晴れ屋」の自家製商品が作られ、「晴れ屋」のカフェでも味噌・ジンジャーエールなど数々の自家製商品が食べることができます。(それは数量限定のため、期間限定になるものがあります。)

定食

古着については…日本では古着の9割が燃やされているという現状から、古着でも使えるものは再利用しようという精神で国内を循環している古着のみを販売。

資源物として集められたものから、スタッフが実際に見て厳選してきます。

調味料については化学調味料などを使用しない無添加のもの、こだわってつくられているものを置いています。

オーガニックでも美味しくないものは置かないようにしているそうです。

小泉さんの私生活から見える生活提案  ショップ晴れ屋

地図

本来小泉さん自身、料理好きでお酒好き。『食』に対しての探究心は旺盛な方。

7つの店舗を経営しながら自ら厨房に立ち、イベントにも参加している小泉さん。休みはほとんどなく、仕事とプライベートの境はないほど忙しい。

それにもかかわらず、夜中に家に帰るとだしをとって味噌汁をつくったり、残り物で料理をつくったり。もったいない精神で食に関しては主婦の感覚もあります。衣服に関してはほとんど購入せず古着で生活さており、それで困ることはなく普通に生活できているそうです。

自ら現場で働く小泉さん、時間を見つけて自ら畑をし、料理をし販売する。そうすることでこだわりを持ってつくっている生産者の方とちゃんと対話できる。その対話の中で本物をつくる作り手の人たちの考えに刺激を受け、その思いを込めた料理をお客様が食べて喜んでもらう、そんな流れの中で一緒に生きている感覚を共有できる。

そんな共有できる日々に心地よさや充実感を感じる。「晴れ屋」での衣食住のメニューが充実する度、自分の衣食住も満たされていくような、『やりたいこと=仕事』の生活です。

自分が好きなもの=「晴れ屋」の商品なのでそのこだわりには嘘がなく、「晴れ屋」のこだわりは小泉さんの思いそのものだと感じられます。

「自ら体験したり、生産者さんとの会話したりする中で、新たな発見や好奇心をもつことができ日々楽しい。休みがないことは苦にならない。」という笑顔は自然体で生き生きとしています。

厚木を代表するエコスポット晴れ屋のこだわりには日本にとどまらず海外を旅して見聞きした経験が元になっています。

自分の目で見極めたこだわりのルーツに迫ります!

小泉さんのスタイル

小泉さんは自分の体・心・周りの環境の声を聞きそれにとても素直に動いているひと。
体・心・周りの環境のバランスが取れていて力が入ってない自然体。食べ物もちゃんと自分で見て納得したものをほしい時にほしい分だけ食べたり。やりたい!社会に必要!と思ったことは迷いなく行動したり。
社会を自分の目で見極め『生きる』価値観を自分なりにもっている人。
それが独りよがりではなくちゃんと世の中とか周りの環境とバランスがとれてる。そのバランスのよさが小泉さんの力の入ってない自然体を作り出しているように思います。

晴れ屋が提案するナチュラル生活の第一歩

小泉さんいわく、生活における『食』を大切にしてほしい。食をやっつけ仕事にしないこと。体が何を欲しているか自分の体に聞き、ちゃんとつくられたものを食べる。そうすることで自分の人生がどれだけ豊かになるか・・・。
その第一歩として、日々使う調味料だけは無添加のこだわって作られたものを食べてほしい。

自分の体とそれに関わる食べ物(やそれがつくられる環境)を大切にすること。それによって自分の人生も豊かで広がりを持つことが出来ます。

小泉さんには社会の固定概念に縛られず自分の信念に素直に行動する自由さがあります。
そしてその信念には自信が感じられます。それは「衣・食・住・遊・知」に関して自分の目で見て感じた確かな裏づけがあるからです。自ら出会って信頼したもので生活している。小泉さんならではの自信です。
小泉さんの夢である『世の中のリアルな一部を映し出すことで自己表現したい』という写真家の精神は晴れ屋にも活きているように感じます。『晴れ屋』というフレームの中でドキメンタリーな生活スタイルを表現する。今の小泉さんもある意味表現者なのかもしれません。

『晴れ屋』

厚木市中町2-8-6 中町ビル2F

TEL&FAX 046-295-1161

小田急線  本厚木駅(北口)より徒歩6分

OPEN 11:30-21:00 (金・土は22:00まで)