蝉よ
おまえは何故鳴く
哀しいのか
うれしいのか
地上での短い命を憂いでいるのか
息も絶え絶えにアスファルトの上でもがいているお前を、せめて土の上でと、手のひらに乗せたとき、わたしの手のひらにお前の尖った口を刺しよったな!痛かったぞ。
しかし、振り落として悪かった。
悪気はなかった。
痛いのが苦手なのだ。
その後、木の枝まで連れて行ったが、お前はもう自力では捕まっていられなかったな。
仕方ない。
それがお前の運命だ。
蝉の運命とは何なのか?
長い間土の中で生き、子孫を残すために地上に出て、一瞬のうちに朽ちてゆく。
蟻の餌となって消えてゆく、その命の意味を教えてくれ、蝉よ!